グラフトレス・低侵襲インプラントとは
インプラント治療では顎の骨に十分な厚みや幅がなく、インプラント体を埋入できない場合は、骨移植(ボーングラフト)や骨造成(GBR)、上顎にある上顎洞にはサイナスリフトをおこない、骨を人工的に造り出して埋入します。
しかし、今は材料や製品などの品質が向上したことや、CT・コンピュータ3Dシミュレーションによる精密な診断ができること、そしてショートインプラント、傾斜埋入、All on 4 (オールオンフォー)、オーバーデンチャーなどのインプラントの治療法が確立されたことから、骨移植・骨造成を行わずにインプラント治療を行うことができる治療ケースが増えてきました。
これをグラフト(骨移植・骨造成)レス(行わない)術式といい、骨移植・骨造成を行わずにインプラント治療の設計を考えることをグラフトレスコンセプトといいます。
特徴としては、患者様の精神的・肉体的・費用的にも負担の少ない低侵襲なインプラント治療であるという点です。
グラフトレス・低侵襲インプラントの利点
- 骨移植・骨造成手術にかかる身体的負担や治療費を軽減できる
- 治療期間を一般的なインプラント治療と同様にできる
- 骨移植・骨造成による感染リスクを回避できる
- 術後の腫れを少なく抑えることができる
グラフトレス・低侵襲インプラントの種類
ショートインプラント
ショートインプラントとは、骨内埋入8mm以下のインプラントのことをいいます。
少し前までは長いインプラントほど安定すると考えられてきましたが、 実はインプラントを埋入してから約3~6ヶ月経過し骨と完全に結合すれば、インプラントの長さは関係ないということがわかってきました。
ただし起用する場合には、患者様の口腔状態や骨の硬さ、噛み合わせなど一定の条件が整うことが必要となります。
このショートインプラントの利点としては、骨移植や骨造成を行わずに治療ができるので身体的負担の軽減、治療期間の短縮、そして経済的な点です。
傾斜埋入
傾斜埋入とは、垂直にインプラント埋入する場合には骨の高さが不足している場合にインプラントを斜めに埋入する術式です。
骨移植・骨造成などのグラフト治療と比べ、骨質の良い箇所を利用するため初期の安定性も良く、身体的負担の軽減、治療期間の短縮、そして経済的に治療を行うことができます。
オーバーデンチャー
オーバーデンチャーによるインプラント治療とは、インプラントを2本埋入し、ボールアタッチメントやバータイプのものを取り付けます。
それにより、入れ歯が横滑りする・回転する事を防ぎ安定してお使い頂いただくことができる治療方法です。また、今まで通りご自身で入れ歯を外すことができるので、ご高齢の方でもきれいに清掃することができます。
ボールタイプ
バータイプ
All-on-4(オールオンフォー)
4本のインプラントを上顎、下顎もしくは上下両顎に埋め込むだけで、口の中の歯全体を固定式の義歯にすることができるというインプラント治療法です。
このオールオンフォー(All-on-4)は、その日のうちに仮義歯にしっかり固定することで、手術当日から食事も可能になり、インプラント治療のデメリットといわれる「治療期間」「経済性」「審美性」「外科的侵襲」など患者様にとってのあらゆる負担を軽減した、まったく新しいコンセプトの治療法です。